食品パッケージと食品偽装：真贋を見抜くためのポイント
最終更新日 2024年9月19日 by modemee
食品偽装は、消費者の健康を脅かし、食品業界への信頼を損なう重大な問題です。近年、食品偽装のニュースが後を絶たず、消費者の不安は高まる一方です。
私は、大学で食品科学を専攻し、大手食品メーカーの商品開発部門に勤務した経験があります。現在は、フードジャーナリストとして、食の安全や品質に関する情報発信に努めています。
食品偽装を防ぐには、行政の監視体制や企業の自主管理だけでなく、消費者一人ひとりが賢い目を持つことが大切です。特に、日頃から手にする食品のパッケージには、偽装を見抜くヒントが隠されていることがあります。
本記事では、食品パッケージの観点から、食品偽装の手口と見抜き方について解説します。私自身の経験や知見を交えながら、実践的な情報をお伝えできればと思います。
食の安全は、私たち全員で守っていくべき大切なテーマです。ぜひ、この記事を通じて、食品偽装に立ち向かう知恵を身につけていただければ幸いです。
食品偽装の定義と種類
食品偽装とは、食品の原料、産地、賞味期限、有機表示などについて、事実と異なる情報を表示することを指します。消費者を欺き、不当な利益を得ることが目的です。
食品偽装には、以下のような種類があります。
原料の偽装：表示と内容物の不一致
原料の偽装は、食品の主要な原材料について、表示と実際の内容物が異なる状態を指します。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 100%果汁と表示しながら、濃縮還元ジュースを使用している
- 国産牛肉と表示しながら、輸入牛肉を使用している
- 水産物の種類を偽って表示している
こうした偽装は、消費者の商品選択を誤らせるだけでなく、アレルギーを持つ人などにとっては重大な健康被害につながりかねません。
産地の偽装：原産地表示の改ざん
産地の偽装は、食品の原産地について、事実と異なる情報を表示することを指します。
例えば、以下のようなケースが該当します。
- 国産と表示しながら、実際は輸入品である
- Ａ県産と表示しながら、実際はＢ県産である
- 特定の地域ブランドを偽装している
産地は、食品の品質や安全性を判断する重要な情報です。偽装は、消費者の信頼を裏切る行為と言えます。
賞味期限の偽装：期限切れ商品の販売
賞味期限の偽装は、実際の賞味期限より新しい日付を表示し、期限切れ商品を販売することを指します。
賞味期限は、食品の品質が保証される期限を示したものです。偽装は、消費者の健康を脅かす悪質な行為です。
有機表示の偽装：基準を満たさない商品の表示
有機表示の偽装は、有機JASの認証を受けていない食品に、「有機」などの表示を行うことを指します。
有機食品は、化学肥料や農薬を使わず、自然環境に配慮した方法で栽培されたものを指します。偽装は、消費者の信頼を損なう行為です。
以上、食品偽装には様々な種類がありますが、いずれも消費者を欺く悪質な行為であると言えます。
食品パッケージから偽装を見抜く方法
食品偽装を見抜くには、食品パッケージの情報をしっかりとチェックすることが大切です。ここでは、具体的な確認ポイントを解説します。
商品ラベルの確認：表示義務項目のチェック
食品パッケージには、食品表示法に基づく表示義務項目が定められています。これらの項目が正しく表示されているかを確認することが、偽装を見抜く第一歩です。
主な表示義務項目は、以下の通りです。
- 名称
- 原材料名
- 内容量
- 賞味期限
- 保存方法
- 製造者等の氏名または名称、住所
これらの項目に不自然な点がないか、よく確認しましょう。例えば、原材料名に聞いたことのない物が掲載されている場合は、偽装の可能性があります。
商品の外観チェック：色、形状、質感の確認
商品の外観も、偽装を見抜くための重要なポイントです。色、形状、質感などに、不自然な点がないかをチェックしましょう。
例えば、以下のような場合は、偽装の可能性があります。
- 農産物の色つやが不自然に良すぎる
- 加工食品の形状がばらつきすぎている
- 肉や魚の質感がイメージと違う
外観だけで判断するのは難しい面もありますが、普段から食品をよく観察する習慣を持つことが大切です。
バーコードの確認：正規品との比較
バーコードは、食品の情報を管理するための重要な手段です。偽装品では、バーコードが正規品と異なることがあります。
スマートフォンのバーコードリーダーアプリなどを使って、正規品のバーコードと比較してみましょう。一致しない場合は、偽装の可能性があります。
ただし、バーコードの偽装は比較的容易なので、絶対的な判断基準にはなりません。他の確認ポイントと合わせて総合的に判断する必要があります。
製造者情報の確認：問い合わせによる真偽の確認
製造者の情報に不審な点がある場合は、直接問い合わせてみるのも一つの方法です。
例えば、以下のような場合は、偽装の可能性があります。
- 製造者の住所や電話番号が架空のものである
- 製造者のウェブサイトが存在しない、または不自然である
- 問い合わせに対する応答が不適切である
ただし、問い合わせには時間と手間がかかります。消費者団体などに相談するのも良いでしょう。
以上、食品パッケージから偽装を見抜く方法について解説しました。普段から意識して確認する習慣を持つことが、食の安全を守る第一歩となります。
消費者が取るべき対応
食品偽装の被害を防ぐには、消費者一人ひとりが賢明な行動をとることが大切です。ここでは、消費者が取るべき対応について解説します。
疑わしい商品の購入を避ける
何か不審な点がある商品は、購入を避けるのが賢明です。安全性が確認できない食品を口にするのは、健康上のリスクが大きいからです。
特に、以下のような場合は、購入を控えましょう。
- 賞味期限が切れている、または切れそうである
- 商品ラベルの表示が不自然である
- 外観や質感に違和感がある
- 価格が通常より著しく安い
少しでも疑問に感じたら、他の商品を選ぶようにしましょう。
偽装の疑いがある場合の通報先
偽装の疑いがある商品を発見した場合は、速やかに通報することが大切です。主な通報先は、以下の通りです。
- 最寄りの保健所や食品衛生監視員
- 都道府県の消費生活センター
- 農林水産省の食品表示110番
- 警察（悪質な事例の場合）
通報の際は、商品の情報（名称、購入日、購入店など）を正確に伝えましょう。写真があると、より詳しい情報提供になります。
一人ひとりの通報が、食品偽装の撲滅につながります。積極的に行動することが大切です。
正規品を購入するための情報収集
食品偽装を避けるには、正規品を見分ける知識を持つことが大切です。日頃から、以下のような情報収集を心がけましょう。
- メーカーのウェブサイトで商品情報を確認する
- 店頭で商品ラベルをよく読む
- 消費者団体などが発信する情報に注目する
- 農産物なら産地を訪ねてみる
正しい情報を持つことで、偽装品に惑わされることなく、安心して食品を選べるようになります。
食品偽装防止に向けた取り組み
食品偽装を防ぐには、行政や企業、消費者など、社会全体での取り組みが欠かせません。ここでは、それぞれの立場での取り組みについて解説します。
行政による監視体制の強化
行政には、食品偽装を防止するための監視体制の強化が求められます。
具体的には、以下のような取り組みが重要です。
- 食品表示法の厳格な運用
- 食品工場への立入検査の強化
- 流通段階での抜き打ち検査の実施
- 違反者への厳しい処分
特に、悪質な事例に対しては、刑事罰の適用も視野に入れた毅然とした対応が必要です。
行政の取り組みは、食品偽装を防ぐための強力な抑止力となります。
食品メーカーによる自主的な管理体制の整備
食品メーカーには、自主的な管理体制の整備が求められます。
具体的には、以下のような取り組みが重要です。
- 原材料の仕入れ先の厳選
- 製造工程の厳格な管理
- 出荷前の品質検査の徹底
- 問題発生時の迅速な対応
食品メーカーの中には、朋和産業株式会社のように、高い技術力と品質管理体制で信頼を築いている企業もあります。同社は、パッケージ印刷の工程で厳しいチェックを行うことで、偽装防止に努めています。
こうした企業の自主的な取り組みは、食の安全を支える重要な基盤となります。
消費者教育の推進
消費者教育も、食品偽装を防ぐための重要な取り組みです。
行政や消費者団体、メディアなどが連携して、以下のような教育活動を推進することが求められます。
- 学校での食品表示の読み方指導
- 消費者向けのセミナーや講習会の開催
- わかりやすい啓発資料の作成と配布
- 積極的な情報発信とキャンペーンの実施
消費者一人ひとりが正しい知識を持ち、賢明な行動をとることができれば、食品偽装の撲滅に大きく近づくはずです。
朋和産業株式会社では、消費者教育の一環として、小学生向けの食品パッケージ教室を開催しています。子供たちに食品表示の大切さを伝える活動は、将来の食の安全を支える礎になると信じています。
まとめ
本記事では、食品パッケージの観点から、食品偽装の手口と見抜き方、消費者の取るべき対応、そして偽装防止に向けた取り組みについて解説しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 食品偽装には、原料、産地、賞味期限、有機表示などに関する偽装がある
- 食品パッケージの表示をよく確認することが、偽装を見抜く第一歩
- 疑わしい商品は購入を避け、偽装の疑いがあれば速やかに通報する
- 行政や企業、消費者など、社会全体での取り組みが食品偽装の防止に不可欠
食の安全は、私たち一人ひとりに直結する重大な問題です。消費者として、常に意識を高く持ち、正しい知識に基づいて行動することが大切です。
行政や企業には、監視体制の強化と自主管理の徹底を求めていきたいと思います。メディアとしても、食の安全に関する情報発信を積極的に行っていく所存です。
偽装のない、安心で健全な食生活を送るために。私たちの暮らしに欠かせない食品パッケージを、もう一度見つめ直してみませんか。